質問「これは性別違和でしょうか?」性別違和の診断基準とアイデンティティー。

こんにちは。

臨床心理士の高橋です。

「こころの質問箱」に投稿がありましたので、
お答えしますね。

ご質問

私は、24歳の女性として生きています。
趣味も女性らしいですし、恋愛も男性が対象です。

ですが、最近自分の中の性別が、女性でも男性でもない、無性別な感じがするのです。

そう定義すると、今までの考えや行動が納得いくんです。

すっぽり自分の中に収まります。

これは、性別違和でしょうか?

臨床心理士の回答

ご質問ありがとうございます。

 

女性として生きてはいるけれども、

考えや行動については
「無性別」と思ってみると、

すっぽり収まる感じがするのですね。

そして、
それが「性別違和」なのだろうか?

ということが気になっていらっしゃる…。

 

そうですね、

「性別違和」という言葉には
二つの意味があり、

それによって
答えが少し変わってくるかもしれません。

 

一つづつ、お伝えしますね。

診断基準としての性別違和

まず一つ目の意味は、
医学的な診断基準としての「性別違和」です。

 

医療の世界では、
「これを性別違和と言います」
というようなルールが決められています。

 

これを決めることで、

どのお医者さんでも
間違いなく治療をしたり、

その治療に
保険を使うことが許されたり、

よりよい治療法を探す研究などが
出来るようになります。

 

この診断基準としての性別違和は、
簡単に言うと次のようになります。

①決められた性別と、体験している性別が異なる。

②それによって、苦痛を感じている。

当サイトでは医学的な診断はできませんが、

この二つの基準に当てはまれば、

「性別違和」として
診断と治療を受けれる可能性があります。

 

もし確かな診断が必要であれば、

一度受診してみるとよいでしょう。

 

ただこの基準は、
医療の対象になるかどうか、
という基準です。

 

たとえ苦痛はなくても、

体験している性別が異なる
とまでは言えなくても、

次の意味では、
性別違和と言えるし、

言った方が良い場合もあるでしょう。

 

アイデンティティーとしての性別違和

アイデンティティーというのは、

「自分は何者か」という感覚です。

 

もっと簡単に言うと、

「自分らしさ

ということです。

 

性は、
この「自分らしさ」と、
よく関係しています。

 

例えば、

女性らしい感覚、
男性らしい考え方、

と、言ったりしますよね。

 

例えば、ある男性は
「自分は男らしい人間だ」
と思っています。

そうすると、
その人の中の「自分らしさ」は
「男らしい人」になります。

 

別の男性は、
「女性らしい感性を大切にしたい」
と思っています。

そうすると、

「男性だけれども、
女性らしい感性をもった自分」

というものが、
その人の「自分らしさ」になります。

 

こんな感じで、

性の感覚というのは、

「自分らしさ」の一部でもあります。

 

そういう意味では、
質問者さんの、

女性として生きてはいるけれども、
考えや行動は無性別とした方が、納得がいく

 

というのは、

一つの自分らしさ、
アイデンティティー、

と考えることもできます。

 

性別違和という名前をつけることで、

さらに収まりの良い感じがするのあれば、

自分自身のアイデンティティーという意味で
それを性別違和と言ってもいいのではないでしょうか。

 

あるいは、
そう思うことに迷いが出たり、
辛くなることがあれば、
カウンセリングを利用してみるのも
良いかもしれません。

 

カウンセラーと自分自身のことについて
いろいろと話をしてみることで、

気持ちが整理されたり、

自分の性や、
自分らしさについて考える
よいきっかけになるかもしれませんよ。

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