アドラーの目的論への気になる問題提起が
Amazonレビューにあったので、
ここらぼ的に答えてみようと思います。
目的論って何?という人は
まずはこちらの記事をご覧ください。
【アドラー心理学】目的論は解決を導く
さて、
気になる問題提起はこちらのレビュー
簡単にまとめると、
私はうつ病で、その原因は過去のトラウマにあると思う。でも、トラウマを言い訳になんかしたくないと思っていたら、うつ病がさらに悪化して一ヶ月寝込んだ。
目的論でいうと、うつが悪化したのは「社会に出たくないから」。
だからこそ勇気を出してやるんだと言われたら、過労死か自殺しかない。
つまり、「目的論は、うつ病を追い詰める!」という問題提起です。
いかがでしょうか??
確かに一理ありそうな意見ですよね。
このような意見にいたることは
特に追い詰められている人にとっては
とても自然なことだと思います。
けれども、私がお伝えしたいのは、
この問題提起は誤解であるということ。
アドラー心理学でなくてもそうですが、
理論の言葉だけが一人歩きしてしまうと、
このような「誤解」が生まれてしまいます。
心理学の理論は、
だからこそ丁寧に伝えなければならないし、
下手をすると誰かを追い詰めることになってしまうと思うのです。
この誤解をとくために、
2つの視点からもう一度、
うつ病の目的論について考えてみたいと思います。
1つ目は、うつ病の目的とは何か。
2つ目は、その目的から導き出される解決策は何か。
①うつ病の目的とは何か
レビューでは、
うつ病の目的は「社会に出たくないから」と書かれています。
この目的は正しいのですが、不十分でもあります。
なせなら、
社会に出たくないことにも目的がある
からです。
社会に出たくない目的はなんでしょうか?
遊んで暮らしたいから?
つらいことから逃げたいから??
ニートの人や
働きたくなくて大学院に行く人など、
社会に出たくない人は沢山いますが、
うつ病の「社会に出たくない」は
ちょっと目的が違います。
うつ病の主な症状は
「気分の落ち込み」と「やる気の低下」です。
「やる気の低下」の一つの表れ方として
「社会に出たくなくなる」というものがあります。
つまり「社会に出たくなくなる」
というのは病気の症状なのです。
ということは…
「うつ病の目的は社会に出たくないからだ」
というのは
「風邪の目的は咳をしたいからだ」
と言っているのと同じことです。
外れてはいないけれども、
十分ではないですよね…。
風邪になると
何のために咳をするのかが
よくわからないからです。
ではうつ病の社会に出たくなるなる目的…
すなわち、やる気が低下する目的とはなんでしょうか?
とても端的に言うと、
うつ病とはエネルギーが極端に低下する病気です。
そのためうつ病になると
仕事だけではなくて、
好きなとこや、
日常生活の習慣も「やる気が湧かない」状態になったりします。
これは原因論的に考えると
「エネルギーが足りないから、やる気がわかない」
となりますが、
目的論的に考えると
「エネルギーを貯めるために、やる気が湧かない」
という事になります。
つまり、
うつ病の目的は「エネルギーを貯めること」
なのです。
②目的から導き出される解決策はなにか?
レビューでの解決策は「勇気を出してやるんだ」でしたね。
もうちょっと具体的に補完すると、
文面から察するに、
「勇気を出して(社会にでることを)やるんだ」
という意味でしょう。
で、その先に待つのは
「過労死か自殺」
と言っています。
確かに、
うつ病の人に無理に社会にでることを求めると
その先にあるのは過労死か自殺だと私も思います。
うつ病むりしちゃダメ・ゼッタイです。
では、
ここらぼ的アドラー流解決策を考えてみましょう。
まず、うつ病の目的は
「エネルギーを貯めること」
でしたよね。
もし友達に
「疲れちゃって、
エネルギー貯めたいんだけどどうしたら良い?」
と相談されたら、どう答えますか?
たぶんほとんどの人が、
休めば?と答えるでしょう。
私も同じです。
つまり
うつ病になったら休めばいい
んです。
休んでお薬を飲めば、
うつ病は良くなります。
で、良くなってから社会に出ればいいんです。
でもうつ病の人は
それが難しいからうつ病になります。
なぜ難しいかというと、
休む自分を許せなかったり、
周りを裏切っては行けない
と思い込んでいたりするからです。
だから十分に休めないで、
うつをさらに悪化させたりします。
レビューの方もそうでしたよね。
「トラウマを言い訳に
何かをしないなんて人間でありたくない」
と思って休めなかった。
だから、うつが悪化した。
うつ病の人が
「勇気を出してやること」
は「休むこと」です。
アドラー風に言うと、
完璧な自分や理想の自分を諦めて
「休むことを決断する」
ことが大切なのです。
やっぱり心には対話が必要
このようにアドラー心理学などの
心理カウンセリングの理論は一歩間違えると、
180度結論が変わってしまう危うさを持っています。
だからカウンセリングは
一方的にアドバイスを与えるだけではなくて、
対話をしながら進めていくことが重要なのです。
カウンセリングとは、
悩んでいる本人の専門家
(つまり自分自身)と、
心の専門家とのコラボレーションです。
もしも本を読んでも
悩みがうまく解決出来ない時は、
もしかしたら何か誤解をしているのかもしれません。
その時はぜひ
カウンセリングをご利用ください。
一方的なアドバイスではなく、
対話を通して、
悩みを解決するサポートをいたします。