メールカウンセリングに限った話ではありませんが、
心理カウンセリングのお仕事をしていると、
「なぜその料金なのか?」
というご質問をたまにいただくことがあります。
あるいはもっと率直に
「相談するだけで、その値段は高すぎる」
とご意見をいただくこともあります。
当サイトのメールカウンセリングの料金は、
「1通:5,000円」
「14日間:10,000円」
たしかに簡単に払える金額ではありません。
料金が高ければ、当然、お申し込みは慎重になりますから、
「本当に一万円の価値があるのか?」
「どうして一万円なのか?」
「ぼったくりではないか?」
などと、考えることも自然だと思います。
しかも、「心理カウンセリング」というものは、
日本ではまだ馴染みのないものですから、
多くの方にとって
「心理カウンセリング」=「よくわからないもの」
であって、
その「よくわからないもの」に高額な料金を支払えるか、
と考えると、当然いろいろな疑問が湧いてくるものだと思います。
おそらく私も、この仕事をしていなければ、
同じように考えていた自信があります(笑)
この記事でお伝えすること
この記事では、
そういったカウンセリングの料金への疑問について、
できる限り率直にお伝えいたします。
少し長いお話になりますし、
これはカウンセラー側のお話であって、
実際のお悩みの解決には、
ほとんど関係のないことですが、
もしよろしければ、ご覧ください。
カウンセリング料金の相場
カウンセリング料金の相場は、
臨床心理士が都内で開業した場合、
「1時間1万円」
くらいが相場です。
1万円の内訳
ではなぜ、
1時間1万円もするのかというと、
1万円のうち、
- だいたい50%は、
カウンセリングルームの家賃・光熱費など。 - 残りの50%は、
カウンセラーの人件費。
となります。
ちなみに都心から外れると、
カウンセリングルームの家賃が安くなりますので、
「1時間8,000円」とか
「1時間6,000円」とか
で、やられているカウンセラーもいます。
そうすると、
1万円の50% = 5,000円
がカウンセラーのお給料かというと、そうではありません。
5000円の中身
心理カウンセリングとは、
「人の悩みを聴いているだけ」の仕事ではありません。
悩みを聴きながら、
心理学の専門的な技術を使って
その悩みを解決しやすくなるように
支援をすることがお仕事です。
そのため、
心理カウンセラーの仕事は、
カウンセリングの時間だけではなくて、
- カウンセリング後に、
今回のカウンセリング内容をまとめて、
次回より良いものにするための
「事例検討」 - 日々、心理学の知識や技術を高めて、
より良いカウンセリングを提供するための
「論文調査」「研究会」「学会活動」
が必要になります。
そのため、5000円とは、
「1時間のカウンセリング」のお給料なのではなく、
実際は
「1時間のカウンセリング + 事例検討 + 論文調査 + 研究会 + 学会活動…」
のお給料ということになります。
カウンセリング以外に、どれほど時間をかけて、
カウンセリング技術の研鑽を行なうかというのは、
それぞれのカウンセラーに任されていることですので、
一概には言えません。
私の場合は、
1回のカウンセリングに対して、
少なくとも1時間~多くて2時間程度の、
事例検討や論文調査、研究会や学会への参加に時間を割いています。
したがって、
2~3時間で5000円
=時給1600円~2500円
平均すると時給2000円程度
ということになります。
カウンセリング料金の内訳
ここまでを、まとめると、
1時間1万円のカウンセリング料金は
- 5000円:家賃などの経費
- 3000円:専門技術のための費用
- 2000円:カウンセラーのお給料
となります。
では、時給2000円というお給料は妥当なのでしょうか…?
心理カウンセラーの妥当な報酬
心理カウンセラーといっても、
実はいろいろな心理カウンセラーがいます。
というのも「心理カウンセラー」というお仕事は、
誰でも名乗ることができる仕事だからです。
例えば全くの素人が、急に思い立って
「明日から心理カウンセラーをやる!」
と言えば、もう心理カウンセラーです。
資格もピンキリで、
大学院で臨床心理学を学んで、
その後の試験と面接を通過して取れる
「臨床心理士」という資格もあれば、
数日~数ヶ月程度の講習会に参加すれば取れる
心理カウンセラーの資格も日本にはたくさんあります。
したがって、心理カウンセラーと言っても
「素人カウンセラー」
「3日で取れる資格のカウンセラー」
「大学院で取れる資格のカウンセラー」
と様々です。
必ずしも、難しい資格を持っているカウンセラーが優秀というわけではありませんが、
一般的には、臨床心理学の学術的な教育を受けて、高水準の試験を通過したカウンセラーの方が、より効果的なカウンセリングが出来ると考えられています。
当サイトのカウンセリングは、
すべて「臨床心理士」が行なっていますので、
ここから先は「臨床心理士」の妥当な報酬についてお伝えします。
臨床心理士の妥当な報酬
「臨床心理士」という資格は、
大学院を修了した後に取れる資格です。
大学院とは、大学卒業後に進学できる機関ですので、
「大学4年+大学院2年」の教育が必要ということになります。
これは「医師」や「薬剤師」と同等の教育レベルです。
少し社会的な話になりますが、
同等の教育レベルの人に働いてもらう場合、
それぞれの給料を同じ程度にしないと、
冷遇されている仕事をやる人が足りなくなってしまいます。
例えば、
・医師の時給が5000円
・薬剤師の時給も5000円
・臨床心理士の時給だけ2000円
となると、
医師にも薬剤師にも臨床心理士にもなれる人は
冷遇されている臨床心理士をわざわざ選びません。
そうすると、
心の援助ができる専門家は
社会的に不足してしまいます。
したがって、
臨床心理士の報酬は
「医師」や「薬剤師」レベルが妥当である
と考えられます。
では、それは具体的にいくらかと言うと、
医師の平均時給は約5000円と言われています。
参考:https://epilogi.dr-10.com/articles/448/
(意外と少ないと思われる方もいるかもしれませんが、お医者さんたちは尋常じゃないほどの勤務時間を働いているので、時給単価はこの程度に抑えられているのだと思います)
以上のことから、
臨床心理士の報酬は、
時給5000円程度が妥当だと言えます。
(実際に、公立学校のスクールカウンセラーの時給は、
「5000円前後」であることが多いです。)
カウンセリング1時間1万円は妥当か?
さて、以上のことを考えると、
カウンセリング1時間1万円に対しての、
カウンセラーの給料は2000円程度ですから、
時給5000円が妥当と考えると、
「1万円でも、安すぎる」
ということになってしまいます。
(そのため、1万円以上の料金を設定しているカウンセリングルームも都内では少なくありません)
以上のように
「心の悩みを専門的に相談する」
ということは、
一般的なイメージよりも、
どうしても高くついてしまうものです。
しかしながら、決して「ぼったくり」でこのような値段でやっている訳ではないということを、ご理解していただければ幸いです。
メールカウンセリングの場合
さて、今までは、
一般的なカウンセリングルームの料金
について考えてまいりましたが、
ここからは、当サイトで行なっている
メールカウンセリングについても考えてみたいと思います。
メールの場合、
専用のカウンセリングルームが必要ないので
もっと安く抑えられるのではないか、
と思うかもしれません。
実際、私も当サイトを立ち上げた当初は、
「カウンセリングルームのカウンセリングよりも
安くカウンセリングを提供できるのではないか」
と考えていました。
しかし、2年続けて見た中で、
その見通し甘かったということを痛感しています。
たしかに、
ルーム代をカウンセリング料金に入れる必要はありません。
しかし、一方で、
メールでカウンセリングのお返信を書くということは、
実際にやってみると
直接お会いするカウンセリングに比べて、
かなり時間がかかることでした。
具体的には、
送っていただいたメールから
様々な可能性を検討して、
誤解のないように、
一語づつ言葉を選んでつづっていくと
1通の返信に、平均1時間程度かかります。
当サイトのメールカウンセリングは
1通5000円ですから、
時間にすると、
1時間5000円
ということになります。
さらにここに、上述したような、
「研究会」や「学会活動」の時間や、
このサイトを運営するための
サーバー代などの経費、
無料のコラムなどの執筆時間、
…などなどを含めると
実は、カウンセリングルームよりも
かなり低いお値段で提供しています。
(ですので、もしかしたら今後、
さらに値上げせざるを得なくなるかもしれません…)
*
以上、「カウンセリングは料金がなぜ高いのか?」
ということについて、
できるだけ率直にお答えしてまいりました。
カウンセリングは、
決して安いお値段ではありませんが、
それは過剰にいただいている訳ではなく、
「専門家に心の相談をする」ために必要なお金
と、ご理解いただければ幸いです。