最近、条件反射制御法について学んでいるのですが、理解したポイントを個人的なメモとして残しておきます。
(一般的向けの内容ではないです)
参考文献
参考にしている文献は、
こちらの本と↓
こちらのWebサイトです↓
条件反射制御法とは
条件反射制御法は、アルコール依存や薬物乱用、自傷行為、盗撮癖、強迫行為、ギャンブル依存、ストーキングなどの「わかっちゃいるけど、やめられない」行為を治療する方法。
依存のメカニズム
人間は、神経活動によって、行動や思考を展開する。
神経活動は、第一信号系と第二信号系の2つに分けることができる。
第一信号系
第一信号系とは、一方向に自動的に展開される反射の連鎖であって、例えば「梅干しを見たら唾液が出る」といった類のものである。いわゆる条件反射と言われるものである。先天的に備わっているものもあれば、後天的な学習によって獲得されるものもある。
第二信号系
第二信号系とは、一つの刺激から多方向に展開される神経活動であり、この第二信号系によって、人間は判断や評価、予測、計画など、精神活動が可能になる。いわゆる思考と言われるものである。
「わかっちゃいるけど、やめられない」状態
依存の心理状態は「わかっちゃいるけど、やめられない」という状態であるが、
これは、
第二信号系の思考レベルでは「わかっている」が、
第一信号系の条件反射レベルでは「やめられない」という状態であり、
本人の意思による制御が効かなくなっている状態と言える。
したがって、この状態を脱するためには、意思や信念などの第二信号系に対する介入だけではなく、第一信号系の条件反射に対して介入を行う必要がある。
そのための方法が、
第一信号系の条件反射を制御する方法
「条件反射制御法」である。
具体的な手順
条件反射制御法は以下の4つのステージによって行われる。
1:負の刺激ステージ
2:擬似ステージ
3:想像ステージ
4:維持ステージ
①負の刺激ステージ
負の刺激ステージとは「キーワード・アクション」と言われる、ある動作と言葉の組み合わせ用いて、第一信号系の条件反射を新たに獲得するステージである。
学習する条件反射は、
キーワード・アクションを行う
↓
依存を強化する報酬が発生しない
という条件反射である。
(これも条件反射に入るのか!っと驚いたのですが、条件反射が脳神経細胞の結びつきの強さと考えれば、「ある刺激」に「ある反応」が結びつくというだけの話なので、なんでもありなのかな、と理解しています)
「発生しない」ということが「負の刺激」であって、それを「キーワド・アクション」と紐づけることによって、「報酬が発生する依存行動」に対抗する神経活動を人工的に作り上げる。
キーワード・アクション
キーワード・アクションの内容は、特に決まりはないが、「私は今」「お酒は」「飲めない」などの明確で短い文と、癖などにはなっていないキーワード・アクションだけのための特殊な動作がよい。
例えば、
「私は今」
(右手で胸をおさえる)↓
「お酒は」
(右手で親指をにぎりこむ)↓
「飲めない」
(左手で右手の手首をつかむ)
などである。
実際の流れ
①周りをよく見る
②キーワード・アクションを行う
③その後、20分間は依存行動をしない
という20分のセットを、1日の中で20回繰り返す。
これらのセットを行う時は、依存行動に対する欲求は有っても無くてもどちらでもよい。
重要なことは、「キーワード・アクションを行なった後、20分間は依存とは無縁である」という反射の連鎖を体験することである。
①の「周りをよく見る」という行動をとる意味は、そうする事によって周りの刺激(例えばコーヒーの匂いなど)がキーワード・アクションと紐付いて、有効な条件反射のトリガーが増える可能性があるからである。
またそのようなトリガーを増やすためにも、このキーワード・アクションのセットは様々な場所で行うことが望ましい。
実施回数と次のステージへの目安
このキーワード・アクションのセットを、入院治療では累計200回
刺激の多い外来治療では累計300回〜1000回ほど繰り返すことによって、
負の刺激の条件反射を定着させる。
次のステージに進む目安としては、依存行動が止まって1ヶ月ほど経過した頃が望ましい。
ステージ1のカウンセリング運用についての私見
・依存行動に対する欲求があってもなくてもよいという点がポイントのように思う。
「我慢するために行う」とすると難易度が高いが「すでに我慢できている時に行う」とすると、失敗しにくいのではないか。
・そのためには、キーワードアクションを行う計画を立てる段階が重要であり、「この時間だったら、この場所だったら、20分やらないでいれそう(あいるは既にできている)」という、「20分しないところ探し」として取り組むと良いのではないか。
・「すでにできている適応場面の意識化」「適応場面の主体的行動化」といった心理的意味もあるように思える。
ステージ2以降の意義
ステージ1だけでも、依存行動は減少する。
しかしそれは、キーワードアクションの獲得のために、依存欲求を駆り立てるような刺激から離れていることによる結果であり、不意に依存行動につながるような条件反射の発生刺激にさらされてしまうと、たちまち条件反射の連鎖が発生し、依存行動の再発が生じる。
条件反射の連鎖は、刺激が入らなければ発生しないが、それは条件反射が消失したわけではなく、刺激がない期間だけ活性化していないだけである。そして実際の生活場面では刺激があふれており、刺激そのものをいつまでも制御しつづけることは難しい。
したがって、たとえ刺激がはいったとしても、当該の条件反射が発生しにくいように、当該の条件反射そのものを弱化する必要がある。
それを行うのが、ステージ2以降の方法である。
②擬似ステージ
擬似ステージでは、依存行動をあたかも行なったような場面を再現する。
例えば、
アルコール依存であれば、お酒を飲む場面
薬物依存であれば、薬物を体内に取り入れる場面
などである。
ここでは、あたかも行なったような場面を擬似的に再現するが、実際はフェイクを用いて物質的な反応は起こらないようにする。
つまり、依存行動ととほとんど同じ条件反射の連鎖を生起させるが、最終的には報酬が生じない体験をする。
条件反射の連鎖は報酬によって強化されているため、条件反射の末に報酬が生じない体験を繰り返すことで、それが消去学習となり、条件反射が弱化される。
(レスポンデント条件付けに、オペラント条件付けが重複して強化されているという理解)(正しいかどうかは知りません…)
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‥とりあえず今日はここまで。
また後で、時間ある時にまとめたいと思います。
もっと詳しく正確に知りたい方は、こちらの本をご覧ください。
(用語などは、ちゃんと調べてないので、かなり怪しいです…。弱化とか消去学習とか使い方あってたかな…)